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はじめに:夢を形にする第一歩、創業融資の重要性
「いつか自分の店を持ちたい」「長年培ってきた技術で独立したい」そうした熱い想いを胸に、起業を志す方は少なくありません。しかし、理想を現実にするためには、綿密な計画と十分な資金が必要です。そこで重要となるのが「創業融資」です。
創業融資は、これから事業を始める方や、創業間もない方が、事業に必要な資金を金融機関から借り入れる制度です。自己資金だけでは難しい設備投資や運転資金を調達し、事業を軌道に乗せるための強力なサポートとなります。
この記事では、創業融資の基礎知識から、日本政策金融公庫の融資制度、成功事例、創業計画書の書き方、よくある質問まで、創業融資に関する情報を網羅的に解説します。創業を考えている方、創業間もない方にとって、夢の実現に向けた羅針盤となることを目指します。
創業融資の基礎知識:知っておきたい制度の概要と注意点
創業融資とは、新たに事業を始める人や、事業を開始して間もない人が、金融機関から資金を借り入れる制度です。一般的な融資とは異なり、実績のない創業者が利用しやすいように、様々な支援策が用意されています。
1.創業融資のメリット
創業初期は何かと物入りで、自己資金が不足しがちです。しかし、創業融資を利用することで自己資金だけでは実現できなかった事業を行う事が出来たり、また、政策的な支援として、様々な制度を活用することで、比較的低金利で借りられる場合もあります。
さらに、金融機関によっては、融資だけでなく、経営に関するアドバイスやセミナーなどのサポートも受けられ、創業者の強い味方となってくれるでしょう。
2.創業融資のデメリット
創業融資の審査は、一般的な融資に比べて厳しい傾向があります。創業者は、実績や信用がないため、金融機関からの信用を得ることが難しい場合があるからです。金融機関は、創業計画の実現可能性や創業者の返済能力などを慎重に審査します。
創業融資は、創業計画書の作成や面談など、一般的な融資よりも手続きが多く、時間がかかる場合があります。特に、民間の金融機関の支店レベルでは、ノウハウが蓄積されておらず、審査に時間を要するケースが多くあります。そのためまずは日本政策金融公庫など、創業融資に関するノウハウを豊富に持つ政府系金融機関での利用を検討するのがいいでしょう。
また、創業する事業の内容や事業計画によっては、希望額が満額借りられるとは限りません。金融機関の融資枠にも限りがあるため、希望額が満額借りられない場合もありますので注意が必要です。
3.創業融資の利用の流れ
創業融資の一般的な審査の流れは以下の通りです。
事前相談 |
事前に日本政策金融公庫に相談し、融資制度や必要書類などについて確認します。 担当者に事業計画の概要を説明し、融資の可能性やアドバイスを受けることができます。 |
申し込み |
必要書類を提出し、融資を申し込みます。 申し込みは、日本政策金融公庫の支店窓口やインターネットで行うことができます |
面談 |
日本政策金融公庫の担当者と面談を行い、事業計画や資金計画について説明します。 面談では、担当者からの質問に的確に答えるとともに、事業への熱意や意欲をアピールしましょう。 |
審査 |
担当者が創業計画書や面談などを通じて審査を行います。 審査では、創業計画の実現可能性、創業者の返済能力、信用情報などが評価されます。 |
融資決定 |
審査に通過すれば、融資が決定されます。 融資決定後、融資条件や契約内容についてを示した書類が郵送等で届きます。 |
契約 |
融資条件を確認し、契約を締結します。契約内容をよく確認し、不明な点は問い合わせしましょう。 電子契約サービスもありますので、希望する場合は事前に伝えるようにしましょう。 |
融資実行 |
契約書を郵送や電子で送った後、数日後に指定された口座に融資額が振り込まれます。 融資実行後、事業を開始し、計画的に返済を行いましょう。 |
4.日本政策金融公庫の融資の種類
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日本政策金融公庫では、様々な創業融資制度を用意しています。
新創業融資制度という制度が一般的でしたが、現在は廃止され、2024年4月1日から「新規開業資金」という新たな制度が開始されました。この新たな制度では、従来の要件が緩和されるとともに、融資条件がさらに魅力的なものへと改良されています。
◎返済期間の延長について
返済期間はこれまでの運転資金は最大7年であったものが、10年に延長されました。これにより、毎月の返済額を抑えることができ、資金繰りの安定に寄与します。特に創業初期の不安定な時期において、この変更は大きなメリットとなります。
◎利率の一律0.65%引き下げ
利率が一律で0.65%引き下げられることにより、借入時の利息負担が軽減されます。創業初期の返済負担が減り、事業運営がよりスムーズになることが期待されます。
◎自己資金要件の撤廃
これまで創業に必要な資金のうち1/10以上の自己資金が必要でしたが、自己資金要件が撤廃されました。これにより、自己資金が少ない場合でも融資を受けやすくなっています。ただし、自己資金が全くない場合審査に通るのは難しく、「自己資金を貯めてきた=事業への本気度のアピール」にもつながりますので、やはり必要な資金のうち2~30%程度の自己資金は用意することが望ましいといえます。
これらの他にも、女性や35歳未満または55歳以上の方であれば、更に有利な条件で利用できる可能性があります。
5.創業計画書作成のポイント
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創業計画書は、金融機関に融資を申し込む際に、あなたの事業の可能性を示すための重要な書類です。ここでは、あなたの事業内容、売上計画、資金計画などを具体的に説明し、事業の実現可能性と返済能力を金融機関にアピールする必要があります。
①創業の動機:なぜ事業を始めるのか
まず、「なぜこの事業を始めたいのか?」というあなたの熱意を伝えましょう。
具体的なエピソードや、解決したい課題を交えながら、あなた自身の言葉で語ることが大切です。過去の経験やスキルがどのように事業に活かせるのかを示すことで、計画に説得力が増します。
②事業内容:具体的な事業の紹介
次に、どのような事業を行うのか、商品やサービスの内容、ターゲット顧客、競合との差別化ポイントなどを具体的に説明します。市場調査や競合分析を通じて、あなたの事業がどのように優位性を持つのかを明確に示すことが重要です。また、既成のフォーマット以外にも補足資料を作成し、図表やイラストを用いて説明することで、より分かりやすく事業内容を伝えることができます。
③売上・収支計画:現実的で具体的な売上目標
売上計画では、売上目標とそれを達成するための根拠となるデータを具体的に説明します。市場規模やターゲット顧客を考慮し、現実的な売上計画を立てることが重要です。売上目標だけでなく、それを達成するための具体的な戦略や施策も示しましょう。
④資金計画:資金調達と返済の計画
資金計画では、資金調達の方法、資金の使い道、返済計画などを明確に説明します。資金繰り表などを作成し、具体的な数字で説明することで、金融機関に安心感を与えることができます。自己資金と融資のバランス、資金使途の優先順位などを明確に示すことが重要です。
当社の過去のコラムでは、「創業計画書の書き方~審査に通るポイントを紹介~」として、より詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
6.日本政策金融公庫の審査基準
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7.日本政策金融公庫の面談対策
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日本政策金融公庫の面談では、担当者から様々な質問がされます。事前に質問を想定し、回答を準備しておくことが重要です。
◎創業の動機や経緯
なぜ起業しようと思ったのか、これまでの経験などを具体的に説明できるように準備しましょう。
熱意や誠意が伝わるように、自分の言葉で語ることが大切です。
◎事業内容
どのような事業を行うのか、強みや差別化ポイントなどを明確に説明できるようにしましょう。
競合との比較や市場分析などを交えて説明すると、説得力が増します。
◎売上計画
売上目標や根拠となるデータを具体的に説明できるようにしましょう。
市場規模やターゲット顧客などを考慮し、現実的な売上計画を立てることが重要です。
◎資金計画
資金調達の方法や使い道、返済計画などを明確に説明できるようにしましょう。
資金繰り表などを作成し、具体的な数字で説明すると、担当者に安心感を与えられます。
◎自己PR
自身の経験やスキル、熱意などをアピールしましょう。
事業への貢献意欲や成長意欲などを具体的に示すと、好印象を与えられます。
当社の過去のコラムでは、「創業融資を成功させる!日本政策金融公庫担当者との面談を完全ガイド」として、より詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ:融資審査に向けて準備すべきこと
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適切な準備を行うことで、事業性融資の審査をスムーズに通過できる可能性が高まります。事業計画書の精度を高め、信用情報を管理し、事業の成長戦略を明確にすることが重要です。しっかりとした準備と戦略を持つことで、融資の成功率を高めることができます。
専門家への相談サービスを利用しましょう
当事務所では、融資や補助金申請に関する無料相談を提供しています。専門家によるアドバイスを受けることで、融資の成功確率を高めることができます。オンライン相談は、初回のみ30分でご提供させていただきます。
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